枝付き檜が迎える家



丸太の継ぎ目でカエルもひと休み。自 然素材は生き物に優しい
玄関には「山荘きよみず」の看板がかかる。ここの地名にちなんだ名前だ

 
左:材木の質や形にこだわる西岡さんの要望を、見事に形にしたハンド カットログハウス。「リビングにベッドを持ち込んで寝てしまう」というの もうなづける
右:枝付きの丸太をはじめ、内部はすべて無塗装。 杉の木肌は美しく、木目も詰まっている

 
左:番犬ユウジロウは高知市内では鎖につながれているが、 ここでは自由に放し飼い。夜になると周辺にイノシシが出 没するため、番犬ユウジロウの役割は大きいのだ
右:2階の外壁は丈夫な土佐しっくいを使用。雨の日は黄色 っぽく、晴れの日は白っぽく微妙に変化する。自然素材 のためホルムアルデヒド等の問題も楽々クリアしている


高知市街を眼下にする自宅から車で30分の別荘

 明治維新への扉を開いた幕末の志士・坂本龍馬の故郷として知られる南国土佐、高 知市。その高知市街をぐるりと見下ろす山の上に、西岡さんのログハウスは建っている 。市街地から市の北側の山へ向かって車で30分、山林を切り開いた斜面にハンドカット の風格あるログハウスが現れる。玄関には「山荘きよみず」の看板がかかり一瞬これは 宿泊できるロッジ?と思わせる。ここは高知市内に住む西岡さんの別荘。西岡さんは“日 常から離れた空間”の意味合いをこめて「山荘きよみず」の看板を掲げている。雄大な 眺望を眼下にする山上のログハウスはまさに非日常的空間。眺望をより楽しむため、庭 に露天風呂も作ってしまった。   西岡さんがログハウスに興味を持ったのは20年ほど前。ロサンゼルス・オリンピックを見に 渡米した際、グランドキャニオンに寄った。そこにあったログハウスのレストランに入った時、い つかこんな家を建ててみたいと思ったのが、ログハウスとの最初の出合いだった。そして7年前 に眺望抜群のこの土地を購入。樹木が生い茂る山林を自ら造成した。   設計・施工は高知県南国市にあるアイビーログ工房に依頼。地元の会社であること、地元の 木材を使う事、そしてなにより社長の岡原さんの人柄にひかれたのがアイビーログ工房を選ん だ理由だった。アイビーログ工房は2001年ログハウス・オブ・ザ・イヤーのポスト&ビーム部門 で最優秀賞を受賞。2003年にログ業界初のFSC(森林管理協議会)の認証を取得した。FS Cの認証とは、森が健全かどうか、正しく管理・流通されているかなどを、世界的な基準で審査 する制度。アイビーログ工房はFSCの「生産・流通・加工工程」部門での認証を受けた、エコ 意識の高いログメーカーである。   アイビーログ工房の岡原社長は、最初は西岡さんにポスト&ビームを勧めた。しかし西岡さん の希望は丸太のハンドカットログ。岡原さんは後々のメンテナンスの手間を考えた上での提案 だったが、西岡さんはハンドカット以外は頭になかった。「物を買う時は、これと決めたらもう変 えないタイプ」という西岡さんに「ハンドカットに住むには覚悟がいりますよ。充分メンテナンス をしてやらないと」と念を押して着工した。

庭先の露天風呂で雄大な眺望を独り占め

 西岡邸に使用した12段のログは地元の杉。「高温多湿で日差しが強く、台風の直撃も 多い高知の自然に耐えるには、地元で育った木が最適」と岡原社長はいう。また2階の 外壁材には100年はもつという丈夫な土佐しっくいを利用。わらを半年ほど自然発酵さ せたものを混ぜた、耐寒性、耐熱性に優れた高知特有の自然素材である。   玄関に入ると、まず階段部分の枝付きの丸太が目に飛び込んでくる。「これはたのん でもいないのに社長が持ってきた。僕の好みをよくわかってくれてる」と西岡さん。階段 の踏み板は固くて丈夫な高知のみずめ桜。2階のテラスには杉の曲げ木を使った。浴 室は木の香り漂う檜風呂。床材も檜貼りだ。   この別荘で娘さんと愛犬2匹と一緒に寛ぐ。別荘といっても住居は高知市内にあり、思 い立ったらいつでも来れる。「家からこのログハウスまで車でほんの30分だけど、市内と ここでは環境が全然違う。夏はクーラーを使わなかったね」と西岡さん。夏は庭先の露 天風呂がお気に入りだった。「8時半頃に露天風呂に浸かるとね、高知空港に最後の飛 行機が入ってくる。そして9時に港からフェリーが出て行くのが見える。缶ビールを飲みな がら、この時間帯にゆっくり湯に浸かる。至福の時間だね」。そして冬が来ると西岡さん が絶対欲しかった薪ストーブに火が入る。冬は薪ストーブの前が西岡さんの特等席にな りそうだ。

 
テラスからは高知市内を眼下に望む。東は室戸岬、西は足摺岬まで見 渡せる。



ログハウスDATA

■延べ床面積 96
■1階 63( 2階 33 デッキ 26.5
■着工日 平成15年12月1日
■完成日 平成16年6月10日
■加工法 ハンドカット 
■構法 丸太組構法
■仕様ログ材 杉材 260Φ 
■基礎 ベタ基礎
■外部仕上 ・屋根材=コロニアル/建具=アルミペア、木製建具/・塗料=ノンロット、フッ素 3回塗り
■内部仕上・天井材=杉/床材=檜/内壁材=漆喰、杉板
■工費 総工費=2100万円・基礎工事費=120万円/ログ材料費=300万円/・組み上げ・大工工事費=600万円/屋根・板金工事費・150万円/塗装工事費=30万円/設備工事費=400万円/その他=500万円
■設計・施工 アイビーログ工房

取材協力/アイビーログ工房  ログハウスに住むVOL.5より転載


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